フェルメール「信仰の寓意」
高齢者虐待・身体拘束について
虐待は言うまでもなく、身体拘束もするべきでないのは当たり前の事ですが
現実的にはクリアしなければならない難関が多々あります。
以前ケアマネ研修で、「うちの施設は拘束ぜろです。」と言ってた老健の
看護師さんがいましたが・・・スタッフも頑張ってるけど、入所判定の担当の
方も、頑張って調節されていることと思います。
病院の場合は、治療・生命を守るためにある程度の抑制は仕方ないかもしれ
ないと、ミトンや経管栄養中手を縛ったりする事が認められやすいのですが
認知症があり、治療の拒否や廊下の徘徊があるような場合、救急病院にご紹介
しtも、高齢(認知症?)だから・・・積極的な治療の必要性は無いのではな
いでしょうか?と断られることがよくあります。認知症に対しては、オレンジ
プランが進行中ですが、夜中でも早朝でも、今の対応に難渋している現場を
アットタイムに助けてくれるシステムができるといいですね。
専門知識を持って仕事をする現場の方では、人員を増やすだけが対応策にな
るわけですが、慢性の人手不足の上、それに投入する余裕のない医療・保険財
政(2025年問題とか・・・盛んに言われています。)の中、どうしていけ
ばよいのだろう・・・。そうした中、主に慢性期の重傷者を受け入れている当
院では、人工呼吸器・経管栄養の患者さんが多く、ADLも定時の体転の必要な
方が多いので、夜間の管理などを思うと、医療区分の低い方で、見守りや経
介助の必要な方は入院で無く介護施設や事業所をご選択になるようお勧めし
ています。
倉敷北ケアセンターや結幸園では、せいぜいベッド柵を置く、ベッドを壁に
つける・・・位の対応でしょうか。結幸園は介護力は高いと思いますが、人員
の関係で、受け入れ可能な胃瘻は日勤中に注入が終了できる方のみとしていま
す。メディカ倉敷北は看護師が24時間おりますので、抑制、注入中の情事の
見守りが必要ない方は何の問題もありません。こうした方は、経鼻胃管でも
問題ありません。但し、抑制が必要またはずっと横についておく必要がある
(料金がとんでもなく高額になるので)場合は、要相談となります。
さて、上記のような事もありますので、身体拘束ゼロ作戦が提唱され、何度
も「身体拘束ゼロ作戦推進会議」が開かれていた頃の資料もありますが・・・
丹羽厚生大臣の頃・・・今は岡山県のホームページにもしっかり纏められて
おりますので、それをベースにご紹介しようと思います。
岡山県ホームページ・関連ページ
岡山県ホームページ
高齢者虐待・身体拘束のページ
1.まず高齢者虐待の状況に関するData
2.ケア従事者のための身体拘束ゼロハンドブック
3.身体拘束のないケアの実現に向けて
4.岡山県高齢者虐待防止ガイドライン
ケア従事者のための身体拘束ゼロ
ハンドブック
「介護保険制度では、施設に入所されている方の生命や身体を保護するため
に緊急やむを得ない場合を除いて、身体拘束はできないことになっています。」
と、県のホームページにも明示されているように、抑制を行わずにすむように
個々の能力・対応力を向上させる事で何とかできるものならば、ぜひそのよう
に頑張ってみて下さい。
このページです
「こんな人はうちでみる人じゃありません!」
・・・なんて、声高に言わないで下さい。入院・入居の判定をするスタッフは
もちろん現場の大変さはよく分っていますからね。安易に拒否をする前に、何か方法がな
いか、考えてみましょう。
病棟などでも、できれば意識しましょう。病状から・・・拘縮などもあり
ミトンが必要なくなった患者さんが、ずっとミトンをしたままのような事が
あります。当院の患者層では、大勢のミトン装着者の一人と言う感覚になって
しまいますが、「もう外していいんじゃない?」「ああ、ほんとに!」とナー
ス。みんな、その気はあるのですが・・・忘れちゃいますか?ま、いつも意識
しときましょう。水虫もなりやすくなるしね。
すっきりしたね、Oさん!
身体拘束のないケアの実現に向けて
岡山県ホームぺ字の中の関連のページはこちらです。
参考にしていただけましたか?病院で見ると、7対1kン後の基準で、一つの
看護単位も大きい場合の数人の経管栄養患者に対応する場合、当院療養病棟の
ように20対1の基準で30~40名の看護単位、そのうち20名近くが経
管栄養であるような場合、一人のスタッフが対応で切る内容が異なってきます。
人数的に恵まれていれば・・・
「急にひとり身になった高齢男性。引きこもらせず、栄養のある食生活をお
くらせるには?」
「男の料理教室に通ってもらう!」
的な解答も有りかもしれませんが・・・。
いろいろな事例が出ているのでご覧下さい。
岡山県高齢者虐待防止ガイドライン
なかなか大部です。
高齢者虐待といっても、いろいろなパターンがありまして、院内でのパター
ンでは、金銭的虐待かな?というパターンを時々みかけます。
知り合いからの相談では、一人暮らしのお年寄りがいて、どこかに入所した
ら、自分がお世話するからと連れて帰り、真夏も冬もエアコンは体に悪いから
と付けさせない。本人が弱っている・・・との事で、公に相談してみたらと
お話して、相談はしてみたが、本人が虐待と思っていないのでどうにもできな
いということだったそうです。
限界があるんでしょうね!?。
アーカイブ・身体拘束ゼロの手引き
平成13年の初期の資料です。現場からするとあれ?と思われる部分も無い
ではないですが、原則的な事が載っているので、資料としてご覧になっていた
方がよろしいでしょう。
「抑制した手が腫れてしまった。つい~してしまって・・・。」は通用しな
いなあ、と感じてもらえたらよろしいでしょう。
身体拘ゼロの手引き・平成13年厚生省
身体拘束と法的責任
平成13年の身体拘束ゼロ作戦推進会議の中で使用された資料をご紹介しま
す。古いものですが、基本的な見方はこう、とご覧ください。、
法的内容を含む文章ですので、活用には一言一句を確認して押さえておく必
要があるでしょうが、もしこうした内容に関して大きな不利益を被るような場
合、弁護士間でも意見の異なることはありますから、専門家に相談するしか仕
方無いのでしょうね。(立場が違えば、常識や正義も違うものです。)
身体拘束と法的責任について
Nさんは、経鼻胃管をしています。丁度食事の時間で、胃管が白いのは栄養
を滴下中です。左手は顔まで届くので、ミトンのてはこの時間、縛らせてもら
っています。こうした保護が出来なければ、胃瘻をするかIVH(太い静脈に特
殊な点滴を入れる栄養法)をするしか、長期の管理をする手はありません。
目に表情があり、心の動きのあるNさんは、安易な看取りの運命を強いられ
るべきではないと感じています。画像の左奥にちらりと見えるのは、人工呼吸
器の一種です。二酸化炭素の溜まりやすい状態がありますが、寝ている時間に
機械をつけていると、いい状態で過ごせます。
(宮原)