4-1.FIM


              大谷郁代「横顔」
       メディカ倉敷北オープンの時ロビーにかけていた絵です。


  FIM

 

FIM

Functional Independence Measure

 

FIMってどんなもの?

FIMの評価法はその疾患にも適応できます。評価者もリハビリの専門職である必要もありません。実際に「している」状況を記録することで、介助量を測定しています。

FIMは日常生活動作(ADL)のすべての内容をチェックするためのものはなく、生活を営んでいくために。必要最小限の項目を把握するために用いられるものです。

対象の年齢は7歳以上で、それ未満の小児のためにはWee FIMという評価基準があります。

実際にはどのように活用できているのか?

私たちの職場ではFIMADL評価の共通言語として使用していますので、
病棟、訓練室、カンファレンスも、FIMの点数でADLを理解しあうようになっています。

看護婦の間では、看護計画にFIMを取り入れることで、評価のポイントを絞ることができ、入院されている方のADL情報の把握も素早く把握できます。参考にしてください。

運動項目の原則


FIM
の早見表は、「基本に戻る事」を大切にしています


特別に医学的な知識がなくても普段の病棟での生活、家庭、社会での生活を見ていれば採点が出来るようになっています。

採点の基準 

点数

介助者

手出し

手助けの程度

7

不要

不要

自立

6

不要

不要

時間がかかる、装具や自助具が必要、投薬している、安全性の配慮が必要


5

必要

不要

監視、準備、指示、促しが必要

4

必要

必要

75%以上自分で行う

3

必要

必要

50%以上、75%未満自分で行う

2

必要

必要

25%以上、50%未満自分で行う

1

必要

必要

25%未満しか自分で行わない

 

 

 

 

 

 

 

装具や自助具の装着は「準備」に含まれます。

食事の内容



食事が適切に用意された状態で、適切な食器を使って食物を口に運ぶ動作から咀嚼し、嚥下するまでが含まれます。

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採点のキーポイント

食事の採点

 

7 点 完全自立

すべての性状の食物を皿から口まで運び、咀嚼して嚥下できる。

6 点 修正自立

時間がかかる、自助具を使用している。部分的に非経口的栄養に頼り、自分で準備、片づけをしている。

5 点  監視または準備

準備や監視が必要、自助具の装着をしてもらう。

4 点 最小介助

患者は食事動作の75%以上を行う。

3 点 中等度介助

患者は食事動作の50%から74%までを行う。

2 点 最大介助

患者は食事動作の25%から49%までを行う。

1 点 全介助

患者は食事動作の25%未満しか行えない。

配膳・下膳は含まれない。口に運ぶ・かき集める・飲み込む、という動作を採点します。自助具を使用して自立していたり、エプロンを自分でかけて使用する場合は修正自立の6点です。きざみ食や嚥下食など、食事形態の工夫をしている場合は、配膳する以前の事なので配慮ということで6点になります。
  
準備:肉を切る・蓋をあける・エプロンをかける、というような内容を介助する場合 
   は、直接触れて介助するわけではないので、準備の5点になります。 

介助:食物を集めたり、口に運ぶ・咀嚼や嚥下を手伝うならば、4点~1点になります。
   スプーンにのせる・嚥下時、口を閉じるなど

採点例


配膳前にきざんでもらってあり、1人で食べている。6点(すでにきざみ食として配膳されているため)

口の中に食物が溜まっていないか、介助者が指で確認している場合→4点。

自助具をつけてもらい、食物をスプーンにのせてもらうと、あとは自分で口に運び、嚥下する→3点(口に運ぶ・飲み込むの2つを行っているので、60%=3点)
  咀嚼や嚥下は可能であるが、口にまったく運べない→1点(咀嚼や嚥下よりも、口に運ぶことのほうが、採点の重みがあるため)

整容の内容



口腔ケア・整髪・手洗い・洗顔・そして髭剃りまたは化粧を評価します。すなわち、歯磨きか入れ歯洗い、櫛かブラシで髪をとくことなどを評価します。


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整容の採点ポイント


歯・義歯を磨く、櫛などで髪をとかす、手洗い、洗顔、行っていればひげそりまたは化粧を全て自力で行っている。                7点
時間がかかる、自助具を使用している。         6点
介助、監視、準備が必要。               1~5点

整容は5つの動作の集まりです。
1
) 口腔ケア 2)洗顔 3)手洗い 4)整髪 5)化粧または髭剃り
ただし、5つめの化粧または髭剃りは、行う必要がないことが多いため、していない場合は、
その他の4項目で評価します。それぞれの項目について、何%しているかを評価し、平均します。

整容の準備(5点)
 歯磨き粉を歯ブラシにつけてもらう
 タオルを準備してもらう
 自助具を準備・装着してもらう など

採点例


口腔内の清潔、整髪、手洗い、洗顔、髭剃りのうち、3項目が介助している。→ 2点 (2/5=40%しているということになる。)

5項目のうち、どの項目も半分以上介助している → 2点 (それぞれ50%以上の介助)

入浴の内容


身体を洗う、拭く動作を採点します。洗う範囲は首から下で、背中は含まれません。

浴槽、シャワー、またはスポンジのいずれでもよいです。
清拭には、洗う・すすぐ・拭く・乾かすという動作がありますが、洗う、の比重が大きいです。


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入浴の採点ポイント


身体を洗い、乾かすことが自立している                 7点
時間がかかる、自助具を使用している。                 6点
介助、監視、準備が必要。                        1~5点

 身体を10ヶ所に分けて考えます。(胸部・両上肢・腹部・両大腿部・両下腿部・会陰部前面・臀部)何ヶ所を自分で行えて、何ヶ所を介助しているかを評価し、採点します。

準備の例(5点)
 実際の動作が始まる前に温度調節をする、石鹸をタオルにつける、タオルをしぼる、などの動作を介助する場合。(各部を拭くごとにそれらの動作を手伝う場合は、準備ではなく介助になります。)

採点例


柄付きスポンジやループ付きタオルを使用して、自立している。→ 6点(自助具を使用している)
滑り止めマットを使用している。→ 6点(自助具を使用している)
10
ヶ所のうち、3ヶ所は自分で洗っていて、7ヶ所は介助している → 2点(3/10=30%している)
足先は洗っていないそのために介助しているなら点は下がりますが、特に介助していなければ点は下がりません。

更衣(上)の内容


腰より上の更衣・および装着している場合には、義肢または装具の着脱も評価に含まれます。実際の評価動作は、着る・脱ぐという動作です。服をタンスから取り出す、しまうという内容は、準備に含まれます。普段、着用している衣服で評価します。
入浴前後の着脱は特殊状況なので、含まれません。


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更衣(上)の採点ポイント


衣服を取り出すことを含めた衣服の着脱が自立している。ブラジャーの着脱、ジッパー・留め金などの扱い、着用している場合は義肢・装具も含む。   7点
時間がかかる、自助具を使用している、マジックテープなどを使って改良した衣服を使用している。                                 6点
介助、監視、準備が必要。                     1~5点

 更衣の4点以下採点のこつとして、何動作かに分解して考えると、採点しやすいです。
 例えば、かぶる、片袖を通す、もう一方の手を通す、衣服をひきおろす、という動作に
 分けると採点しやすいです。
装具について
 更衣の主な動作ではないので、装具を装着してもらっても5点までしか下がりません。
 浮腫防止のための弾性ストッキングも、装具と同様の扱いになります。

採点例


ボタン通しなど、自助具を使用して自立している → 6点。
前述の4つの動作のうち、両袖を通すことを介助してもらう → 3点 (2/4=50%している)

更衣(下)の内容


たんすから必要な衣服を取り出し、腰から下の衣服を着脱することを評価します。ズボン、下着、靴下、ストッキング、靴などが含まれます。装具を着用している場合は、装具も評価対象となります。


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更衣(下)の採点ポイント


自力でたんすから衣服を取り出し、腰から下の更衣・装具の着脱をしている  7点
時間がかかる、改良した衣服や自助具を使用している               6点
介助、監視、準備が必要。                          1~5点

準備とは服を取り出す、脱いだ服をしまうことを指します。
装具の扱い装具や弾性ストッキングを介助している場合は5点になります。
4
点以下には下がりません。
4
点以下の採点行っている動作、衣服の種類を分解して考えます。例えば、ズボン・下着
・ 靴下・靴を着用していれば、そのうちいくつの動作が自立しているかで
採点します。

トイレ動作の内容


トイレ動作で評価する内容は、排尿・排便の前後にズボン・下着を上げ下げし、会陰部を清潔に保つことが含まれます。ベッド上で尿器を使用していれば、ベッド上の動作で評価します。

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トイレ動作の採点ポイント


自力で衣服を下ろし、排泄後会陰部を清潔にし、衣服を再び上げている     7点
時間がかかる、手すりや自助具を使用している                 6点
介助、監視、準備が必要。                        1~5点

以下の3つの動作のうち、いくつ自力でしているかを%で表します。
・ズボンなどを下げる
・ズボンなどを上げる
・(お尻などを)拭く
3つしている 100 75
2
つしている 67 3点(5075%自力でしている)
1
つしている 33 2点(2550%自力でしている)

こんな時は低い方の点数をとります
・排尿時と排便時で点数が違う
・日中と夜間で点数が違う
・その他時間帯によって点数が違う

採点例


ズボンの上げ下げは手すりにつかまって自力で行い、拭く動作も自立している
→ 6
点(補助具を使用している)
服を下げ、お尻を拭くことはできるが、服を上げることは介助である
→ 3
点(2動作は自立している)
日中は自立しているが、夜間は安全のため介助者が監視をしている
→ 5
点(低い方をとる)
オムツを使用しており、オムツの交換は全て介助で行っている
→ 1
点(トイレ動作は全く自力で行っていない)

排尿の内容


排尿の項目では、排尿をしてもよい状況で、タイミングよく括約筋を緩めるというところを採点します。排尿の前後に衣服を上げ下げすること、排尿後会陰部を清潔にすることは含みません。


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上記は当センターで利用している排尿チェック表です。

 

排尿の採点ポイント


失敗なく、準備も含め自力でタイミングよく排尿することができる    7点
時間がかかる。投薬している。補助具を使用している          6点
介助、監視、準備が必要。                        1~5点

失敗する頻度と介助量の両方を採点し、低い方の点数をつけます。

失敗の頻度による採点
ない 6・7点
1
ヶ月に1回未満 5点
週に1回未満 4点
1日に1回未満 3点
毎日 2点

介助量による採点
週1回以下 5点
週2~6回 4点
毎日の場合は自分でする頻度と介助で行う頻度の割合で採点します
自分でする方が多い 4点
同じぐらい 3点
介助でする方が多い 2点
毎回介助 1点

日中と夜間で点数が異なる場合低い方の点数を採用します。

採点例


オムツ使用の場合(尿パッドなども同様)
オムツ内に排尿し、失敗はなく、自力でオムツを交換している → 6点(オムツを補助具として考える)
2~3日に1回失敗し、介助者がオムツを交換し、周囲を片づける3点(1日1回未満の失敗)
オムツ内に排尿し、オムツを交換するよう介助者に頼む → 2
おむつを替えてもらうことを頼めない → 1

カテーテル使用の場合


集尿器、カテーテルの処理がすべて自立している 6点
自己導尿しているが、尿捨ては介助で行っている5点(道具の準備とみなす)
カテーテルの挿入、集尿器を空にすることなどはすべて介助者が行っている1点
バルーンカテーテル留置、カテーテルの交換は毎日ではないが全介助で行っている1点 (排尿に関する課題を全く行っていないとみなす)

尿器使用の場合


尿器に排尿し、その後の尿捨てを自力で行っている6点(尿器を補助具として考える)
尿器に排尿し、尿捨て介助者が行う5点(道具の準備とみなす)
尿器に排尿する間、介助者が尿器を当てている4点(排尿してよい状況にするための最小介助とみなす)

排尿・排便の失敗と介助量


排尿・排便における失敗とは?
失禁・失便ではありません
失禁・失便の結果、衣服やベッドなどを汚染し、介助者の手がかかることを指します。
失禁・失便があってオムツなどを使用していても、周囲を汚染せず、自力で処理をできていれば失敗とは言いません。

排尿・排便における介助とは?
オムツの交換
カテーテルの挿入
自力排尿が困難で手圧をかける
摘便
座薬挿入などを指します。

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排便の内容


排便の項目では、排便をしてもよい状況で、タイミングよく括約筋を緩めるというところを採点します。排便の前後に衣服を上げ下げすること、排尿便後肛門周囲を清潔にすることは含みません。


 

採点のキーポイント

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上記は当センターで利用している排便チェック表です。

 

排便の採点ポイント


失敗なく、準備も含め自力でタイミングよく排便することができる         7点
時間がかかる。投薬している。補助具を使用している               6点
介助、監視、準備が必要。                        1~5点

失敗する頻度と介助量の両方を採点し、低い方の点数をつけます。
・失敗の頻度による採点
ない 6・7点
1
ヶ月に1回未満 5点
週に1回未満 4点
1日に1回未満 3点
毎日 2点
介助量による採点介助の種類によって採点基準があります
座薬を使用している場合
自分で挿入する 月2回以下 7点
週1回程度 6点
座薬挿入を介助している 月2回以下 5点
隔日または毎日 4点

座薬を挿入するだけの介助なら3点以下には下がりません。

摘便、腹圧介助の場合
自力排便の頻度と介助で行う頻度の割合で採点します
自分でする方が多い 4点
同じぐらい 3点
介助でする方が多い 2点
毎回介助 1点

3日に1回であっても排便時毎回摘便であれば、「排便に関する課題を全く行っていない」と判断し 1点 になります。

移乗の内容


ベッド、椅子、車椅子の間でのすべての移乗を含みます。当然往復の動作です。または歩行が移動の主要な手段である場合は起立動作を含む。ベッドからの起き上がりも比重は少ないものの評価対象です。乗り移れるように車椅子の位置を整えることは評価動作ではなく、その前の準備段階です。


 

採点のキーポイント

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移乗の採点ポイント


装具や手すりが不要で自力で移乗している。                   7点
手すりなど必要。                               6点
介助、監視、準備が必要。                        1~5点

4点~1点の%の目安
4点患者にまさかの為に触れる程度
3点軽く引き上げる
2点しっかり引き上げる、回す
1点全介助、2人介助

トイレ移乗の内容


便器の移ること、および便器から離れることを評価する。対象は便器というだけで採点は移乗の採点方法と同じです。


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トイレ移乗の採点ポイント


装具や手すりが不要で自力で移乗している。                   7点
手すりなど必要。                               6点
介助、監視、準備が必要。                        1~5点

4点~1点の%の目安
4点患者にまさかの為に触れる程度
3点軽く引き上げる
2点しっかり引き上げる、回す
1点全介助、2人介助

浴槽移乗の内容


浴槽またはシャワー室に入り、そこから出る動作を評価する。浴槽のそばまで近づく事は含まない。浴槽のそばにいる状態から浴槽をまたぎ、浴槽内に入り、和式の浴槽であれば沈み込むこととその戻りが採点される。シャワー浴だけの人はシャワー椅子への移乗を評価する。
採点する動作 浴槽をまたぎ越す,浴槽で沈む、つかる


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浴槽移乗の採点ポイント


装具や手すり、補助具などが不要で自力で移乗している。             7点
装具、手すり、補助具など必要。                        6点
介助、監視、準備が必要。                         1~5点

足を片側またがせ介助で4点
両足またがせ介助で3点
かなり引き上げてもらって2点
二人で引き上げて1点。機械浴利用者も1点

移動の内容


立位の状態であれば歩行、座位の状態であれば平地での車椅子で評価する。退院時の移動手段を用いて入院時、退院時とも評価する。例えば、入院時に車椅子使用していても、退院時に歩行獲得が予想されれば、入院時に歩行を評価する。もし、予想が立たなければ入院時に両方評価して、退院時に決定する。


OT Goishi PTYokoyama NS Iwata

移動の採点ポイント


(50m可能)7 完全自立介助なしで自立
6 修正自立介助なしだが補助具が必要
5 監視または準備監視が必要
4 最小介助介助量が25%以下
3 中等度介助介助量が25%以上
(50m不能)2 最大介助15m介助が必要、介助量が75%以下
1 全介助15m介助が必要、介助量が75%以上

15m以上49m未満で自立であれば5点

まず、50m移動可能かどうかを考える。次に介助はどの程度必要か検討する。

50m移動可能か?:はい3点以上
いいえ2点以下

介助量の目安 4点:患者に手を添える程度
3点:患者をしっかり支え、足の振りだしを介助する
2点:1人の介助者がどんなに介助しても15mしか歩行できない
1点:1人の介助者がどんなに介助しても15m未満しか歩行できない。
または二人介助が必要。

 

 

 

階段の内容


屋内の12から14段の階段で評価する。必要な段数がない施設は例えば、4段しかない場合は続けて3往復して12段の昇降と考える。また、昇りと降りや朝と晩(リウマチなど)で能力差がある場合は低い方の点数をつける。


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階段の採点ポイント


(12から14段可能)

7 完全自立介助なしで自立
6 修正自立介助なしだが補助具が必要
5 監視または準備監視が必要
4 最小介助介助量が25%以下
3 中等度介助介助量が25%以上
(12から14段不能、4から6段介助で可能)
2 最大介助15m介助が必要、介助量が75%以下
1 全介助15m介助が必要、介助量が75%以上

4から6段自立 5点

まず、何段昇降できるかを評価し、次に介助はどの程度かを評価する。

12から14段可能3から7点階段昇降に介助は必要かいいえ 5から7点
はい 4点以下

12から14段不能:1または2点(4から6段自立なら5点)

介助量の目安
4点患者に触る程度の介助
3点足の運びの介助、からだの引き上げ介助
2点8段の階段昇降を触る程度の介助
4段の階段昇降を触る程度の介助
1点二人がかりの介助が必要、訓練室では可能での実生活では階段を使用しない患者
危険性が高く未評価の時

認知項目の原則

FIMの早見表は、「基本に戻る事」を大切にしています

特別に医学的な知識がなくても普段の病棟での生活、家庭、社会での生活を見ていれば採点が出来るようになっています。

採点のポイント(理解・表出・問題解決)

76点 複雑/抽象的事を一人でできる


51点 簡単な日常生活において介助が必要

採点のポイント(社会的交流・記憶)

76点 一人でこなせる


51点 手助けをする必要がある

複雑、簡単(日常的)の区別がないことに注目

何だか難しくなってきたぞ!わからないやという時、原則に戻ってみてください。

採点の基準

運動項目との違い

5点:監視、指示、準備以外に10%未満の手助けも含まれます。

認知項目採点基準


点数

介助者

手出し

手助けの程度

不要

不要

自立

不要

不要

時間がかかる、補助具が必要

安全性の配慮

必要

不要

監視、指示、促し

必要

必要

90%より多く自分で行う

介助は10%未満

必要

必要

75%以上、90%以下自分で行う

必要

必要

50%以上、75%未満自分で行う

必要

必要

25%以上、50%未満自分で行う

必要

必要

25%未満しか自分で行わない


%表示ってなんだか難しいような気がしますね。でも、FIMの各項目には評価すべき内容があります。複雑/抽象的な物事の自立、簡単な内容の介助の必要性とその程度、評価すべき項目を患者はどのくらいの割合で実行し、また介助を要しているかです。

程度を表現する時に時々、たまに、ごくまれになどがありますが、それは個人によってその量的な感覚は変わってきます。そこで、FIMでは数字を用いることにしました。

ちょっと強い言い方をしますと、評価の対象にないものは評価しないという割り切りも必要になってきます。

理解の内容


言葉を聞き分けるところまでを評価する

その後、物事を正しく判断するかどうかは関係ない

患者が、相手の指示や会話がわかるかどうか、患者に話しかける時にどれくらいの手間がかかるかを評価します。

例1

理解といっても、難しい方程式を理解するというような時に使う理解ではなく、他人のしゃべった内容をとりあえず聞き取ればよいのであって、そのあとの判断力はここでは採点の範囲外となります。

2

理解/表出の例1

理解/表出のキーポイント


患者の日常生活を見て、順序として、まず複雑な内容、抽象的な内容の理解/表出に手助けが必要でないかを検討します。なんらかの形で手助けが必要な時には、5点以下になり、基本的欲求を理解/表出しているかの評価に移ります。ある程度複雑な内容を理解・表出するけれど、基本的な内容で一部手助けが必要という患者もいるかもしれません。この場合は、少なくても手助けが必要なので5点以下になります。

また、どのような手段を用いて患者は理解、表出するのかということもチェックして下さい。

5点以下のチェックポイント】


基本的欲求に関する話題で採点する

会話の何割はスムーズか

10回同じような基本的欲求に関する会話をした時、その内の何回はスムーズに会話ができか。1回中5回であれば50%なので、3点になります。

介助者が聞き返したり/言い直したりしなければならないのは会話の何割か

キーポイントは2点

2点

1語またはジェスチャーによる意志の疎通のみが可能と覚えるとよい です。足が痛い患者さんに足を指して「痛い?」や、コップで水を飲むまねをするとわかる。

3点

「眠いですか、眠い?」などという強調するような言葉を用いた短い句で話す必要がある。

4点

「投薬を望まれますか?」では返事がなく、「薬が欲しいですか?」と言いかえると患者が反応するというような、介助者は短いながらも文章として話せる。理解させるために強調したり、繰り返したりが必要。

表出の内容

言おうとする内容の善し悪しは問わない

言おうとする内容が、相手に伝わるかどうかを評価する

欲求や考えなど患者の言葉を聞き取るために、どのくらい努力するかを評価します。

例1

質問した事と違う答えが返ってきても、その言葉がすぐに聞き取れるような流暢な言葉なら、ここでの評価は下がりません。

例2

理解/表出の例1


s.kondo

社会的交流の内容


社会的交流の意味するところは、相手に迷惑をかけているかどうか自分の言動が人にどう思われているかがわかるという事です。病室や訓練室、自宅、地域のなかで他人と折り合い、集団に参加して行く能力が含まれます。これは自分の要求とともに、他人の要求をどう処理するかも評価の対象になるという事です。

迷惑ってなに?

さて、ここでふと気づきませんか?あなたの周りにいる患者さんではない人、そしてあなた。社会的交流を自分で評価してみませんか?結構下がる人いますよね..このように、社会的交流も他の項目と同じように特別な事ではありません。日常生活の中での行動を見てください。

 

社会的交流における迷惑とは...

暴力

車椅子で暴走する

過剰な泣き笑い

挨拶を無視する

癇癪を起こす

過度に引きこもる

ののしる、悪態をつく

集団ゲームに参加しない

訓練を拒む

過度に引きこもるの過度ってどのくらい?

引込み思案程度なら問題はないが、引きこもらないように声かけしたり、時には強制が必要な位引きこもりが激しい時には、介助者が必要となりますね。

声がとても大きいため同室の患者が会話をするのを避けるような場合6点以下になる。

大きないびきは、同室者にとっては迷惑かもしれないが、無意識のうちの出来事なので、いびきだけでは点は下がらない。

病気になる前から...「おこりっぽい」「人が迷惑するほどにおしゃべり」など、本人の性格と思われるものであっても、現在、迷惑と評価される場合には、点数が下がる。

問題解決の内容


問題解決の内容は、日常生活の中で起こる問題にどう対応するかという事です。日常生活に関連した解決の技能が含まれます。私たちがなにげなく過ごしている生活の中でも、いつも問題を解決しながら行動をしています。

 たとえば、水を飲みたくなったらどうするか、買い物に行ったらお金を払って品物を受け取る、仕事中にむだ話をしてはいけない?!などです。すなわち、日常生活の中では金銭的、社会的、個人的な出来事にたいして合理的で安全で、タイミングよく決断する事が必要です。また、難しくなってきたとお考えですか?

「問題解決」は………..

勉強や、専門知識のいる「問題解決」ではありません

日常生活に即した問題にどう対応しているか

問題解決にも、ほかの項目と同じように、見るべきポイントというのがあります。複雑な問題日常的な問題について、手助けが必要であるか、必要であるならばどれくらいの割合を必要とするかという事を評価します。

複雑な問題


自分の行動を自分で選択し、判断、解決できる事。複雑な問題を解決するための方針を立て、実行し、誤りがあれば自分で修正するなどが含まれます。日常の問題との違いはわかりましたか?問題解決の評価をするためには、この複雑な問題と、日常の問題がいったいなにを言っているのかという事を認識する事が大切です。

退院計画に参加する

薬の自己管理

対人トラブルの処理

入院会計をする

職業の決定

s.kondo

内容に戻る

キーポイントに戻る

日常的な問題


複雑な問題との違いはわかりましたか?本当に基本的な動作、行動、考えだと思って下さい。問題解決を評価する際には、複雑な問題と日常の問題の違いを認識する事が大切です。

移乗の際、必要な介助を頼む

こぼしたお茶の処理を頼む

一人で車椅子から降りようとすると、転倒する事に気づく

手助けが必要なときに、ナースコールを使う

連れていってもらうように頼む

物を書きたいときにペンを要求する

歯磨きの仕方が分かる

内容に戻る

キーポイントに戻る

問題解決


【採点のキーポイント】

まず複雑な問題を解決するのに手助けが必要かどうかということを考えます。必要がなく完全にできていれば7点、だいたいできている、慣れていない状況では決断をするのに多少の困難を生じるが一人でできる場合には6点になります。

手助けが必要な場合には日常の問題を解決できるかということをみます。患者と接していてこれらの問題の1020はぶつかるでしょう。それに対し普通ではない行動「一人で立ってはいけないと何回行っても立ち上がって転倒する」をとる場合、患者が何割は解決し、何割はおかしな行動をするかで5点から1点をつけます。


問題解決は頭で解決できれば良い。


必ずしも自分の力で行う必要はない。両片麻痺の患者で、身体的には出来ないが、人に頼む事で通常の問題を解決し、金銭管理を自分で行い、退院計画に参加出来ていれば7点となります。

左無視のための衝突は問題解決の点数を下げます。

理解・表出での会話のように、こちらが聞いている事と患者が答えている内容が、ちぐはぐな場合問題解決が下がります。

記憶の定義


日常生活を行う上で必要な内容を覚えていられるかという事です。子供の頃に記憶や、歴史の年号、3日後の約束などではありません。FIMの項目はどれも日常生活を行う上で必要になる内容をという事を基本にしています。

記憶の評価の内容は「思い出」ではありません。現在覚えておく必要のあることを覚えていられるかという事です。このことを間違えなければ採点上で大きな間違いはおこらないと思います。


記憶で採点するのは次の3つです

よく会う人を認識している

認識できていれば名前を言えなくてもよい。失語症の人で訓練室にいくと担当者のところへ寄って行くなら認識できているとみなします。

日課を覚えている言えなくてもよい

他人の依頼を実行する言われた事をやり終えるまで覚えていられるか

キーポイント

記憶


【採点のキーポイント】

記憶で採点するのは3つのみです。

よく出会う人

日課を覚えている

他人からの依頼を実行する

3項目を一つ33%として、何項目できたかを考える。1項目ならば1/3=0.33=33%と割り算をして%、25%以上50%未満なので2点になる。


記憶の細項目の考え方


7

3項目とも完全にできている

6

多少の困難を伴う メモリーノートを自分で活用する

5

1段階の命令には応じられ、日課も覚えており、よく出会う人を認識したが、3つの命令に従うには手伝いを要した

メモリーノートを用いているが、他人に使う事を思い出させてもらう必要がある

2

いつも会う人は認識でしたが、日課は表出できず、他人からの依頼にも答えられない

メモリーノート…..患者が自分の行動を思い出す事が出来るように、ノートに日課を書いたり、一日の日記を書いたりして、それを見る事により行動し、思い出す手助けとなるようにするもの。看護婦が書く場合もあるし、進行状況、障害の程度によっては本人が書く事もある。


ひどい感覚失語のため、他人の依頼という命令が入らない場合


命令の実行というのを除いてもいい事にはなっているが、本当に評価出来ない場合であって、昨日の訓練の内容を覚えている、見せた3つの事を示せるなどで評価できる。失語症の患者が続けて3つのジェスチャーを真似たらそれは、依頼を実行したと考えてもよいです。