本日、北病院のブログでご紹介した2014年改正ダイジェスト(前篇)の、具体的な数字が
出ています。非常に大部ですが、医師会などの説明会は3月にあるとして、今のうちにいろいろ
検討を始めておかないといけません。
宮原@昭和会
[改定速報] 主治医機能評価する「地域包括診療料」は月1回・1503点に設定
資料公表日 2014-02-12 厚生労働省 保険局 医療課
カテゴリ :26年度改定 中央社会保険医療協議会 総会(第272回 2/12)《厚生労働省》
厚生労働省は2月12日に、中医協総会を開催した。
速報でもお伝えしたとおり、平成26年度診療報酬改定に向けて答申を行っている。
◆7対1の重症度、医療・看護必要度見直し等、経過措置は半年間に限定
7対1一般病棟入院基本料等については、「特定除外の原則廃止」「重症度、医療・看護必要度の項目見直し」などが行われる。これらは医療現場に与える影響が極めて大きいため経過措置が設定されるが、その期間は平成26年9月末までの半年間に止まる。
新基準を満たせない7対1病院は半年の間に方向性(7対1基準を満たせるように努力するのか、あるいは10対1や地域包括ケア病棟に移行するのか、など)を決定する必要がある。
ただし、データ提出については1年間の経過措置が設けられた(P7~P12参照)。
なお、「特定除外廃止」の例外として、2室4床のみ平成27年9月30日まで特定除外を存続させることが可能だ(90日を超える長期入院患者について、出来高算定を認めるが、平均在院日数計算対象から除外する)(P8参照)。
◆亜急性期改め【地域包括ケア病棟】、2558点の高点数設定
7対1の見直しにより、急性期後の受け皿として「亜急性期」が注目されている。
平成26年度改定では、病棟単位と病室単位(200床未満)の届出が認められ、名称が【地域包括ケア病棟入院料】【地域包括ケア入院医療管理料】となった。施設基準にも「重症度、医療・看護必要度のA項目が1点以上の患者が10%以上」要件が加味されるなど、届出に向けたハードルは高くなっている。
あわせて受け皿整備を進めるために、次のような高い点数が設定されている(P31~P33参照)(P257~P259参照)。
●地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1:2558点(60日まで)
●地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)2:2058点(60日まで)
●看護職員配置加算:150点
●看護補助者配置加算:150点
●救急・在宅等支援病床初期加算:150点(14日まで)
施設基準について、不明だった部分は以下のようになった。
○在宅復帰率(入院料1、入院医療管理料1のみ)は70%以上
○看護配置は、現在の亜急性期と同じ13対1以上
○重症度、医療・看護必要度のA項目1点以上の患者割合は10%以上
○入院医療管理料を算定できる(病室単位の届出を行える)のは、許可病床200床未満の医療機関で1病棟に限定される
○療養病床においては、1病棟に限り届出を行える
○リハは1日平均2単位以上提供することが必要である
○居室面積は内法で6.4平米以上とする
○看護職員配置加算は50対1以上
○看護補助者配置加算は25対1以上
包括範囲について厚労省当局は、「リハビリを包括するほかは、亜急性期と近似させたい」とコメントしている。
なお、現行の亜急性期入院医療管理料は平成26年9月30日まで存続し、その間は、地域包括ケア病棟と亜急性期が並存することになる(P33参照)。
◆高度な医療実績もつ【総合入院体制加算1】は240点に設定
一般病院ながら極めて高度な医療を提供するところを評価する【総合入院体制加算1】は、240点に設定された(P20~P22参照)。
新たに設けられる実績要件(年間)については、人工心肺を用いた手術40件以上、悪性腫瘍手術400件以上、腹腔鏡下手術100件以上、放射線治療(体外照射法)4000件以上、化学療法4000件以上、分娩100件以上となった。
ICUについては、充実した体制をとっている場合などを評価する高点数区分を新設したほか、重症度、医療・看護必要度の見直しが行われる(P13~P14参照)(P253~P254参照)。
まず、充実した体制としては、「ICU内に専任医師が常勤し、そのうち2名以上がICU経験5年以上である」「ICU1床あたり床面積が20平米以上」「専任の臨床工学技士が、院内に常時勤務している」「ICU用の重症度、医療・看護必要度についてA項目3点以上、かつB項目3点以上の患者が9割以上」とされ、これを満たせば次の高点数を算定できる。
●特定集中治療室管理料1
(7日以内)1万3650点
(8~14日)1万2126点
●特定集中治療室管理料2(広範囲熱傷特定集中治療管理料の場合)
(7日以内)1万3650点
(8~60日)1万2319点
また、現在の特定集中治療室管理料1・2は、管理料3・4となり、点数は据置き(消費増税対応分のみの引上げあり)だが、施設基準について「ICU用の重症度、医療・看護必要度について、A項目3点以上、かつB項目3点以上である患者が8割以上(現在は、A項目3点以上、またはB項目3点以上の患者が9割以上)」と厳格化される(P14参照)。
◆療養病棟の在宅復帰率に着目した加算、在宅復帰50%以上で1日10点を算定
療養病棟について、充実した医療を提供し、在宅復帰率等が高い医療機関を評価する加算が新設される。
まず、療養病棟入院基本料1を届出ている病棟について、在宅復帰率に着目した【在宅復帰機能強化加算】10点(1日につき)が新設される。
具体的な要件としては、(1)1ヵ月以上の入院患者の在宅復帰率が50%以上(2)退院患者の在宅生活が1ヵ月以上(医療区分3の患者では14日以上)継続することを確認(3)病床回転率が10%以上―と設定された(P30参照)。
また、療養病棟入院基本料1を届出ている病棟において、自院で人工腎臓等を行っている患者に対する【慢性維持透析管理加算】100点(1日につき)が新設される。
具体的には「人工腎臓」「持続緩徐式血液濾過」「腹膜灌流」「血漿交換療法」を行っている患者について算定できる(P27~P28参照)。
なお、療養病棟(床)における超重症児(者)・準超重症児(者)入院診療加算の対象が「15歳を超えて障害を受けた者」にも拡大される(P28~P29参照)。
あわせて、平成27年4月1日以降、一部を除き同加算の一般病棟での算定日数が90日までとされる(P29参照)。
◆有床診の入院基本料、もっとも低い区分を100点程度引上げへ
有床診療所について、地域包括ケアの重要な担い手としての評価が行われる。
具体的には、「在支診で訪問診療の実施実績あり」「急変時の入院件数が6件以上」「夜間看護配置加算1または2を届出ている」「時間外対応加算1を届出ている」「看取り実績が2件以上」「全身麻酔等の手術患者数が30件以上(分娩を除く)」などのうち2項目以上に該当する場合には、次のような高い点数区分とする(P41~P47参照)(P248~P250参照)。
●有床診療所入院基本料1(看護職員配置7人以上)
(14日以内)861点
(15~30日)669点
(31日以上)567点
●有床診療所入院基本料2(看護職員配置4人以上7人未満)
(14日以内)770点
(15~30日)578点
(31日以上)521点
●有床診療所入院基本料3(看護職員配置1人以上4人未満)
(14日以内)568点
(15~30日)530点
(31日以上)500点
これにあわせて現在の有床診療所入院基本料1~3は、基本料4~6に名称変更される。
ところで、有床診については「極めて点数が低く、経営が困難である」との悲鳴が医療現場から出ている。そのため、26年度改定では、有床診療所入院基本料6(現在の基本料3)の点数について、「15~30日」を477点に(現在は381点)、「31日以上」を450点(現在は351点)に引上げている。消費増税対応や管理栄養士配置義務の見直し分を除くと、両者とも100点(1000円)程度の引上げが行われている(P43参照)(P249参照)。
なお、管理栄養士を配置した場合の【栄養管理実施加算】が復活し、点数も従前どおり12点となっている(P46参照)。
◆主治医機能評価する【地域包括診療料】、月1回1503点を算定
外来機能分化を進めるために、主治医機能(かかりつけ医機能)を評価する包括点数が2つ新設される。
まず、200床未満の病院と診療所が算定できる【地域包括診療料】だが、こちらは1月あたり1503点に設定された(P48~P51参照)(P240参照)。
また、診療所のみが算定できる【地域包括診療加算】は、1回当たり20点(算定回数上限は設けられない見込み)となった(P52~P54参照)。
厚労省保険局の宇都宮医療課長は、「最初から完成形を目指さず、運用しながら算定要件や点数を精緻化していきたい」旨のコメントをしている。
また、大病院外来の「紹介外来」「専門外来」特化を進めるために、次のような見直しが行われる(P55~P56参照)(P238~P239参照)。
・特定機能病院、許可病床500床以上の地域医療支援病院(24年度改定時は一般病床500床以上の地域医療支援病院)について、紹介率50%・逆紹介率50%に満たない場合には、初診料を209点・外来診療料を54点に減額する(紹介なしに受診した患者等が対象)
・許可病床数500床以上(ただし一般病床が200床未満を除く)のすべての病院について、紹介率40%・逆紹介率30%を満たさない場合には、上記と同様に初診料等を減額する
・年に1回、紹介率・逆紹介率等を地方厚生局に報告する
これらについては、1年間の経過措置が設けられる(実績を見る必要があるため)。
◆機能強化型在支診等の基準、緊急往診10件、看取り4件以上に引上げ
在宅医療の推進に向けて、機能強化型在支診・病の要件が厳しくなった。「在宅担当の常勤医師3名以上」要件は変わらないが、緊急往診がこれまでの『5件以上』から『10件以上』に、看取りがこれまでの『2件以上』から『4件以上』になっている(P57参照)。
また、連携して機能強化型となる場合にも、個々の医療機関が『緊急往診4件以上』『看取り2件以上』というハードルをクリアしなければならなくなる(P58参照)。
これらには半年間などの経過措置が設けられる(P58参照)。
また、機能強化型にはなれないが看取り等の実績がある在支診・病を評価する【在宅療養実績加算】が次のとおり新設される(P58参照)。
●在宅療養実績加算(緊急、夜間又は深夜の往診):75点
●在宅療養実績加算(ターミナルケア加算):750点
●在宅療養実績加算(在宅時医学総合管理料)
・同一建物居住者以外の場合:300点
・同一建物居住者の場合:75点
●在宅療養実績加算(特定施設入居時等医学総合管理料)
・同一建物居住者以外の場合:225点
・同一建物居住者の場合:56点
●在宅療養実績加算(在宅がん医療総合診療料):110点
これらに求められる実績としては、過去1年間で「緊急往診が10件以上」かつ「看取り実績が4件以上」に設定された。
さらに在支診等の後方病床として、新たに【在宅療養後方支援病院】が新設される(P59~P60参照)。
200床以上の病院であって、「入院希望者の緊急時にいつでも対応し、必要があれば入院を受入れる」とともに、「在宅医療を提供して医療機関と連携し、3ヵ月に1回以上、診療情報交換をしている」ことが求められる。
この【在宅療養後方支援病院】では、在宅医療担当医と共同で訪問診療等を行った場合に、次のような高い点数を算定することが可能だ。
●在宅患者共同診療料1(往診):1500点
●在宅患者共同診療料2(訪問診療、同一建物居住者以外):1000点
●在宅患者共同診療料3(訪問診療、特定施設入居者):240点、(特定施設以外の同一建物居住者):120点
また、地域包括ケアにおいて医療と介護を結ぶ重要な役割が期待される訪問看護については、大規模化推進(大規模化により24時間対応や経営の安定化が期待される)の一環として【機能強化型訪問看護ステーション】が新設される(P69~P70参照)(P272参照)。
具体的には、24時間対応やターミナル対応、重症患者受入れなどを積極的に行っているステーションを評価するもので、厚労省当局は「地域住民に対する情報提供や相談、人材育成のための研修実施が望ましい」と考えている。
●機能強化型訪問看護管理療養費1(常勤看護師7人以上、訪問看護ターミナルケア療養費・ターミナルケア加算の合計が年間20回以上、末期がんなどの重症患者が月に10人以上):1万2400円
●機能強化型訪問看護管理療養費2(常勤看護師5人以上、訪問看護ターミナルケア療養費・ターミナルケア加算の合計が年間15回以上、末期がんなどの重症患者が月に7人以上):9400円
一方で、不適切な在宅医療を是正するために、同一日に同一建物に居住する複数人への訪問診療などの点数が引下げられている(P61~P68参照)(P268参照)。
たとえば訪問診療では、【在宅患者訪問診療料(同一建物以外)】の点数は833点で据置き(消費増税対応の引上げはある)だが、特定施設等の入居者に対する場合はこれまでの400点から203点に半減、特定施設等以外の同一建物居住者に対する場合もこれまでの200点から103点に半減となっている。
◆回復期リハ1、休日リハ提供の包括化、消費増税対応で2025点に引上げ
回復期リハビリテーション病棟入院料については、充実した体制等を目指した見直しが行われる。
まず、入院料1を算定する病棟において、「リハビリ医療経験が3年以上等の専従・常勤医師1名以上、および退院調整経験が3年以上の専従・常勤社会福祉士1名以上を配置」することを評価する【体制強化加算】200点(1日につき)が新設される(P34参照)。
また、入院料1を算定する病棟において、休日リハビリテーション提供体制加算を包括化するため、消費増税対応とあわせて2025点に引上げられる(半年間の経過措置)(P34~P35参照)(P256参照)。
さらに、患者に適したリハを実施するため、患者の自宅等を入院前7日以内、または入院後7日以内に訪問し、退院後の住環境等を評価した上で、リハビリ総合実施計画を作成した場合の評価として、リハビリ総合計画評価料に【入院時訪問指導加算】150点(入院中1回)を新設する(P35~P36参照)。
また、要介護被保険者に対する維持期の運動器・脳血管疾患等リハビリテーションについては、医療保険給付とする経過措置を平成28年度まで延長する(P93~P95参照)。
ただし、介護保険への移行を促進するために「過去1年間に介護保険における通所リハ(予防含む)を実施した実績のない医療機関が入院中の患者以外の者(要介護被保険者)に対して、維持期の運動器・脳血管疾患等リハを実施する場合」は、所定点数が90%に減額される(P94参照)。
さらに、【介護保険リハビリテーション移行支援料】500点(患者1人1回限り)が新設される(P95参照)。
ところで、急性期病棟において、ADL低下を防止し平均在院日数の短縮等を図ることを目的に【ADL維持向上等体制加算】が新設される(P134~P135参照)。
具体的な施設基準は次のとおりだ。
○7対1・10対1病棟に、PT、OT、STを1名以上常勤・専従配置する
○リハ医療経験3年以上、及びリハ医療研修を修了した常勤医師が1名以上勤務する
○直近1年間の新規入院患者のうち、65歳以上が8割以上、または循環器系疾患、新生物、消化器系、運動器系、呼吸系患者が6割以上
○アウトカム評価として、「退院患者のうち、入院時よりも退院時にADLが低下した者の割合が3%未満である」「入院患者のうち、院内で発生した褥瘡を保有している入院患者の割合が1.5%未満である」のいずれも満たす
脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料について、地域連携パスを他医療機関へ提供した場合の評価として【リハビリテーション総合計画提供料】100点(退院時1回)が新設される(P138参照)。
また、これまで疾患別リハでは、早期リハビリテーション加算、初期加算を入院患者にしか算定できなかったが、「当該医療機関を退院した患者」と「地域連携診療計画管理料を現に算定した患者(つまり脳卒中と大腿骨頸部骨折の地域連携パス)」については外来でも加算を算定できることとする(P136~P138参照)。
◆抗不安薬3種類以上などを処方した場合、処方せん料は30点に減額
精神科の急性期病棟において、医師の16対1配置を評価する【精神科急性期医師配置加算(16対1)】500点(1日につき)が新設される(P106参照)。
具体的な算定要件としては、(1)新規入院患者のうち6割以上が、入院日から起算して3ヵ月以内に退院し在宅へ移行する(2)過去1年間の時間外、休日または深夜における入院件数が8件以上である(3)過去1年間の時間外、休日または深夜における外来対応件数が20件以上である―となった。
また、クリティカルパスに基づいた計画的な診療を行う精神科医療機関を評価するために、【院内標準診療計画加算】200点(退院時1回)を新設する(P106~P107参照)。
この加算を算定するためには、「入院日から起算して7日以内に医師、看護師および精神保健福祉士等が共同して、院内標準診療計画書(クリティカルパス)を策定し、当該計画書に基づき診療を行い、当該患者が60日以内に退院すること」が必要となる。
一方、精神科の慢性期病棟において、精神保健福祉士の配置等で平均在院日数短縮等が見込まれることから、【精神保健福祉士配置加算】30点(1日につき)が新設される(P108参照)。
この加算を算定するための施設基準は、次のとおりとなっている。
○当該病棟に専従の常勤精神保健福祉士を1名以上配置する
○上記とは別に、退院支援部署または地域移行支援室に常勤精神保健福祉士を1名以上配置する
○措置入院、鑑定入院等の入院患者をのぞいて、当該病棟の新規入院患者のうち9割(精神療養病棟では7割)以上が1年以内に退院し、在宅へ移行する
向精神薬の適正使用を進めるために、次のような見直しが行われる(P119~P121参照)。
(1)精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、精神療養病棟入院料の【非定型抗精神病薬加算2】を削除する。つまり非定型抗精神病薬を3種類以上使用した場合には加算が算定できなくなる。
(2)抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を4種類以上、抗精神病薬を4種類以上処方した場合には、処方料を20点、処方せん料を30点に減額し、また薬剤料を80%に減額する。
◆短期集中的な認知症リハについて、1日240点を算定する点数を新設
認知症治療病棟入院料を算定する患者、または認知症の専門医療機関に入院している重度の認知症患者に対する短期の集中的な認知症リハビリテーションを評価するために【認知症患者リハビリテーション料】240点(1日につき)が新設される(P123~P124参照)。
算定要件は次のように設定された。
(1)認知症治療病棟入院料を算定する患者、または認知症の専門医療機関に入院している重度の認知症患者に対し、入院から1ヵ月以内に、週に3日を限度として、1回20分以上のリハビリを施行した場合に算定する
(2)PT、OTまたはSTと患者が1対1で行う
(3)患者数は、従事者1人につき1日18人以下とする
(4)当該患者について、リハビリテーション総合計画評価料を算定している
またこの点数を算定するための施設基準として、次の事項を満たすことが必要だ。
(i)認知症患者の診療経験を5年以上有する、または認知症リハに係る研修を修了した、専任の常勤医師が1名以上配置されている
(ii)専従のPT、OTまたはSTが1名以上勤務している
◆救急医療管理加算の「準ずる状態」、点数は半減の400点に
重篤な救急患者に対する濃密な医療提供を評価する救急医療管理加算では、重篤な患者を列挙しきれないために「(意識障害など)に準ずる状態」という項目がある。しかし、これを不適切に活用して加算を算定しているケースが散見されるため、是正に向けた見直しが行われる。
具体的には救急医療管理加算を、【救急医療管理加算1(意識障害などの例示に該当するケース)】(点数は800点で据置き)と【加算2(準ずる状態)】に分離し、加算2の点数は半分の400点に引下げられる(P125~P126参照)。
なお、加算2については、患者の概要の報告が必要となる。
◆後発品調剤体制加算、新基準の後発品割合55%以上を高く評価
このほか次のような見直しが行われる。
●病棟薬剤業務実施加算
療養病棟、精神病棟における算定日数制限(現在は4週間まで)を「8週間まで」に緩和する(P221~P222参照)。
●後発医薬品調剤体制加算
後発医薬品調剤体制加算について、新指標(後発品の数量/後発品のある先発品+後発品)による後発品シェアに基づいて、次のように設定しなおす。なお、分母である「後発品のある先発品+後発品」の規格単位数量の割合が、その薬局の調剤規格単位数量に対し50%以上でなければいけないという要件が新設されている(P224~P226参照)。
○【後発医薬品調剤体制加算1】(後発品割合55%以上):18点
○【後発医薬品調剤体制加算2】(後発品割合65%以上):22点
この区分について厚労省保険局医療課の近澤薬剤管理官は「かなりハードルが高い」とコメントしており、これをクリアできる薬局に高い評価が行われるものだ。
●医薬品価格の妥結率が低い医療機関等の適正化
薬価調査を適正に行うために、医薬品の価格妥結率が低い許可病床数200床以上の病院と調剤薬局については基本料が減額される(P234~P237参照)(P238~P239参照)(P270参照)。
具体的には、毎年9月末までに妥結率が50%に満たない場合には、初診料が209点、再診料が53点、外来診療料が54点、調剤基本料が31点、調剤基本料の特例が19点となる。
●夜間25対1急性期看護補助体制加算
25対1・50対1・75対1の急性期看護補助体制加算を算定している病棟において、夜間の看護補助配置を手厚くし、医療安全を確保する場合の評価として【夜間25対1急性期看護補助体制加算】35点(1日につき、14日を限度)が新設される(P217参照)。
●手術・処置の休日等加算
勤務医の負担軽減策の一環として、手術・処置の休日・時間外・深夜加算について、次のように、より高い評価を新設する(P213~P215参照)。
○手術
・休日加算1:160/100
・時間外加算1:80/100
・深夜加算1:160/100
○処置(1000点以上のものに限る)
・休日加算1:160/100
・時間外加算1:80/100
・深夜加算1:160/100
この点、入院中の患者に対しては、症状の急変により、緊急手術・処置を行った場合に算定できるものとするため、休日加算・深夜加算のみ算定できる。
また、当然のことながら医療機関等の都合で休日等に手術・処置が行われた場合には算定できない。
なお、本加算を算定するためには、勤務医負担軽減策(術者に対し、予定手術前の当直免除など)をとっていることが必要となる。
資料では、個別改定項目(P3~P272参照)、答申書(P273参照)、答申附帯意見(P274~P275参照)、医科点数表の新旧対照表(P276~P595参照)、歯科点数表の新旧対照表(P596~P655参照)、調剤点数表の新旧対照表(P656~P660参照)、訪問看護療養費の新旧対照表(P661~P667参照)、DPCに関する新旧対照表(P668~P692参照)、療養担当規則等の新旧対照表(P693~P701参照)、正誤表(P702~P704参照)、薬価算定基準(P705~P776参照)、特定保険医療材料の保険償還価格算定基準(P777~P810参照)、架空症例における算定可能点数や患者自己負担の試算(P811~P816参照)が整理されている。
◆答申にあたり支払側委員は「プラス改定や消費増税対応」に不満のコメント
答申にあたり支払側の白川委員(健保連専務理事)は、次のようなコメントを寄せている。
●プラス改定には不満だが、薬価引下げ分を診療報酬本体に組入れなかったことは評価できる。次回改定以後も継続すべきである。
●「7対1見直し」や、「急性期後の受け皿整備」「主治医機能の評価」は評価できる。
●消費増税対応はきわめて不満である。
一方、診療側の鈴木委員(日医常任理事)は、「地域包括ケアシステム構築に向けて意義のある対応ができたと思う。ただし、医療現場の負担を懸念している。附帯意見にも示したとおり、改定の影響を十分に検証し、状況に応じた必要な対応を行うべき」との見解を表明している。
資料本数 4 資料1 P1~P275 2215_1_1.pdf 4.6M | 資料2 P276~P704 2215_1_2.pdf 5.8M | 資料3 P705~P810 2215_1_3.pdf 1.2M | 資料4 P811~P816 2215_1_4.pdf 3.7M